岡野 望美 岡野 望美

合同会社パッチワークカンパニー
代表 岡野 望美

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会社員時代は苦手なことだらけ。
お茶くみ、飲み会、
みんなそろってランチとか。

Nozomi Okano

岡野 望美

大学を卒業してから企業に就職し、3D CADを使って鉄骨の施工図等の業務を担当していました。会社員時代のことを思い返してみると、新入社員のころからマイペースでしたね。「嫌なものはイヤ!」という態度がハッキリしていたかもしれないです。たとえば“お茶くみはしない”とか、お花見やら忘年会やら“飲み会が苦手”とか。

特にできなかったのは“みんなでランチ”。たわいもない先輩の会話に相槌を打ったり、上司や取引先の悪口を言い合ったり。なんでだろう。全然できなかったんです。それで、用事があるふりをしてアパートに戻って食べたり、社長室で社長とおしゃべりしながら食べたりしていました。不思議と社長とのおしゃべりの方が楽だったんです。

そんな事をしていると周囲からは好き勝手やっていると思われがちな私ですが、意外とそんな事もなくて、“みんな一緒に足並み揃えて”っていうのがどうしても苦手なんです。でも人から嫌われたくないと迎合してしまう自分もいて、結構疲れてしまってましたね。

5年程勤めた時、自分がいた部署がなくなってしまうのをきっかけに、28歳のときにフリーランスで働き始めました。

自分らしく生きるための、仕事

緑線

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ひとりで仕事をすることが
私には合っている。
でもやっぱり、人が好きなんですよね。

仕事している様子

フリーランスで働くようになってまず感じたのは「やっぱり私はひとりが好きなんだな」ってこと。開き直って自分に合うスタイルで働けることに喜びを感じましたね。頑張りたいときに頑張って、好きなように休む。自分にぴったりの環境だなって、最初はそう思いました。

でも月日がたつとフリーランスの大変さが身に沁みるようになってきて。風邪をひいて寝込みたいときでも〆切があるから甘えられない。ちょっとした相談をしたくてもまわりに誰もいない。お昼ご飯をコンビニまで買いに行くでしょ。そのときに一言二言、話す。「お箸はいらない」とか「ポイントカードは持っていない」とか。ヘタしたら1日それだけしか言葉を発しないことだってあるわけです。仕事がうまくいかなくて辛くても、すぐに助けてくれる人がいない。すごく孤独なんですね。フリーランスで働く人たちって気楽なようで、孤独感とか大変さをみんな抱えている。

そんなかんじでひとりで仕事をしていましたが、2014年に会社を設立して、テレワークという仕組みを導入し、テレワーカーさんたちと一緒にCADワーク中心の業務を行うようになりました。SNSのおかげで自宅でひとり仕事をしながら、いろんな人たちと繋がることができますよね。テレワーカーさんとはテレビ会議で打ち合わせをしたり、チャットで意見交換したり。誰にも邪魔されずひきこもってコツコツ仕事するのが好きなんだけど、そうやって人と関わることにも喜びを感じるんです。フリーランスの孤独感は抱えつつも、ひとりで働く人たちがもっと楽しく働けたらいいなという気持ちは強くなりましたね。

緑線

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自分にとって心地良い環境で
世の中の役に立つ仕事が
できたら最高じゃないですか。

岡野 望美

インタビュー:2018年11月
聞き手/廣岡 衣奈(garagraph)
撮影/谷 知英(WARASHIBE PICTURES)
ヘアメイク/雨森 真理子(kira kira karowa)

現在、パッチワークカンパニーでは6名のみなさんがテレワーカーとして在宅でお仕事をされています。それぞれ生活スタイルは色々で、介護をしながらとか、小さなお子さんを育てながらとか、WEB制作の会社を経営している人もいるし。私みたいにひきこもり系の人もいたりとか(笑)みなさん自分のペースで弊社の仕事に従事されています。

いつもインターネット上で誰かと繋がっていて、質問すれば答えてくれる。支え合ってチームで動いています。会社としてはテレワーカーさん向けの勉強会を開いたり、IT関連のお悩みだとか、経理のやり方をサポートしたり、フリーランスならではのお困りごとに対応できるような体制を整えていく準備を進めています。

今でも「嫌なものはイヤ!」、そこは変わらない私のルールです。「ワガママ」や「生意気」と批判される事もありますが、私が作るチームはでこぼこな個性でいいと思っているし、これからの時代は「嫌いなもの」よりも「好きなもの」や「得意なもの」にフォーカスしていくべきと考えています。

「なんでこんなに面倒くさい性格なんだ」と両親を恨んだ事もありましたが、今ではその全ての経験が力になっているし、本当にありがとうと言いたいです。

幸せなひきこもりがたくさんいる世の中をつくりたいですね。私自身そうだし、そんな人たちが輝ける働き方というのを本気で考えています。「私はひとりが好きだから、家でひとりで働いているんだよ」って言うと「へー、そうなんだ」と普通に返してくれるような、それが当たり前の世の中にしたい。テレワークを通じて、働き方の選択肢を広げていきたいです。

合同会社パッチワークカンパニー
代表 岡野 望美

インタビュー:2018年11月
聞き手/廣岡 衣奈(garagraph)
撮影/谷 知英(WARASHIBE PICTURES)
ヘアメイク/雨森 真理子(kira kira karowa)