CADエンジニア・オペレーター

CADエンジニアとは|CADオペレーターとの違いと年収の目安、将来性

CADエンジニア

この記事では、CADエンジニアの仕事内容やCADオペレーターとの違い、気になる年収や将来性について詳しく解説します。

CADエンジニアになるための「求人の探し方」についても、ぜひ参考にしてくださいね。

CADエンジニアとは

CADエンジニアとは、実務経験を積み担当者レベルのスキルを身に付けた技術者のことです。

そんなCADエンジニアの仕事における3つのステップや仕事内容を見ていきましょう。

CADエンジニアの仕事3つのステップ

CADの仕事にはスキルによって次の3つのステップがあります。

ステップ【1】図面を読むことができる
ステップ【2】図面を描くことができる
ステップ【3】設計ができる

 

CADエンジニアになるには、上の3つのステップすべてをクリアしなければなりません。

CADエンジニアの仕事内容:設計の流れ

建築の場合、CADエンジニアの仕事は、次の【1】〜【4】のような設計の流れで図面の作成を行います。

他のジャンルでも同じような図面の流れをたどります。

設計の流れ図面の用途【例】ビルを建てる場合
【1】設計図
(意匠図)
デザインデザインや見積りに必要な簡単な平面図・立面図といくつかの断面図等を描く
【2】構造図強度計算強度計算に必要な図面を描く
【3】施工図製作設計図を基に屋根・建具・作り付ける家具・外構の図面など、業者ごとに製作に必要な図面を描く
【4】原図
 (現図)
部品施工図を基に家具であれば、板をカットしねじ穴を明けるための正確な寸法の部品一枚ずつの図面を描く

 

CADエンジニアに求められる資格とスキル

CADエンジニアに求められる資格の必要性や3つのスキルについて解説します。

CADエンジニアに求められる資格

ずばり、CADエンジニアに必須な資格はありません。

CADの資格は派遣で働く場合には必要ですが、通常の会社ではそれほど重要視していません。

事務の仕事において、エクセルが使えますというアピールと同じ程度です。

それよりも多くの実務経験を積むことを優先しましょう。

CADの資格によって得られる手当などもありません。

建築士や測量士、施工管理技師など国家資格には3,000円〜50,000円が支給されるケースが多いようです。

気を付けて欲しいのは、建築士はデザイン、測量士・施工管理技師は現場管理の仕事です。

「自分はデザインがしたい!」ということでなければ資格が無くても建築の図面の仕事は出来ますし、現場に出たくなければ測量士や施工管理技師の資格は取らない方がいいです。

おかの
おかの
取れば必ず現場に送り出されますよ(笑)

CADエンジニアに求められるスキル

CADエンジニアに求められるスキルは、次の3つです。

専門スキル製作・運搬・材料・専門用語に関する知識
図面スキル専門の記号や凡例の知識、空間把握能力、CADのスキル
担当者スキル社外との打ち合わせや交渉、プロジェクトの工程管理、スタッフへの教育・指示、納期を守ることや間違いのない図面を描くことへの責任感

 

これらすべてのスキルを身に付けるには、やはり実務経験が必要です。

例えば、図面を間違えてしまうと、当たり前ですが現場で正しく組み上がりません。

損害が生じ、プロジェクトに関わる全員が困ります。

そして、図面の納期を守らないと、次の作業をするために準備している人たちの作業が止まって、損害が生じてしまいます。

実務を通して、3つのスキルをバランスよく身に付けておくことが重要なのです。

おかの
おかの
今はあまりなくなりましたが、若いころはめっちゃ怒鳴られてました。最近怒鳴るような担当者はいなくなりましたが、怒られることで許してもらえていたということでもあります。今後は、損害が生じたときに損害賠償請求するというようなケースが増えるのかもしれません。 

CADエンジニアとCADオペレーターの違い

CADで図面を描くのは「CADオペレーター」の仕事だと思っている方が多いと思います。

CADエンジニアという言葉はあまり使われていませんし、一般的には曖昧に使われています。

ここでは、より有益な情報にするため、「CADオペレーター」と「CADエンジニア」に明確に区別して説明します。

「CADオペレーター」と「CADエンジニア」、2つの違いを解説していきます。

CADエンジニアとは

設計図・構造図・施工図・原図(現図)それぞれのステップで、自分で仕事を進められる人をCADエンジニアと呼ぶことにします。

多くの経験や知識が必要ですが、決して全てが分かっているということではありません。

図面の世界はどこまで行っても分からないことが多いです。

どうやって調べればいいか、誰に聞いたらいいかが分かって、仕事を進めて行ける人です。

CADオペレーターとは

CADエンジニアの指示を受けて図面を描ける人

CADのソフトを使って、図面を描ける能力が必要です。

CADエンジニアの適性がある人

CADエンジニアの仕事は、どのような性格・能力を持つ人が向いているのでしょう。

自ら学び続けられる人

同じものを作るのであれば同じ図面を使えばいいわけですから、図面を描く必要がありません。

図面を描くということは、今までやった事がない図面を描くということに他なりません。

たとえ同じような図面でも分からない所が出て来ます。

材料、運搬、製作工程、製作機械などのこれまでの経験から、「こうしよう!」と自分で決定して図面を描いていける人、それがCADエンジニアなのです。

それゆえ、CADエンジニアの仕事は学びと決定の連続と言えるでしょう。

新しい工法、新しい材料への対応や、新しいCADの機能などへの対応も求められます。

責任感が強い人

納期へのコミットと、間違いのない図面が求められるCADエンジニアの仕事。

責任感が強くなければ、適当な図面を描いて、自分の会社だけでなく、客先にも損害を与えてしまいます。

また、責任感がなければ、スタッフの間違いを注意できなかったり、納期に間に合わないのに残業をお願いできなかったりしてしまいます。

短期的にはスタッフから喜ばれるかもしれませんが、会社としての信頼を失って行くことになってしまいます。

仕事への欲がある人

CADエンジニアを目指す人にはぜひ仕事への欲を持ってもらいたいです。

自分の力でこのプロジェクトを成功させたい、もっと良い仕事にチャレンジしたいなどの欲です。

人によっては、もっと良い給料を貰いたい、いい条件で転職したい、などの欲もあるでしょう。

そういう欲がないと、この仕事のプレッシャーを成長の糧に変えていくことができません。

独立できるCADエンジニアの適性がある人

将来的に独立を目指すなら、図面を描けるだけでは仕事をし続けることはできません。

図面+担当者としての能力が必要です。

コミュニケーション能力がある人

独立しても食べていけるようなCADエンジニアは、社内では担当者になる能力が必要です。

社外との打ち合わせや交渉、社内の工程管理、スタッフへの教育・指示などを行います。

そのため、人との関わりが苦ではない、コミュニケーション能力が高い人が向いています。

マネジメント能力がある人

さらに独立を成功させるCADエンジニアになるなら、リーダーとしてプロジェクトのマネジメントを行う能力が必要です。

工程・人材の管理はもちろん、状況を常に把握しながら円滑に業務を回すマネジメント能力が必要です。

CADエンジニアになるには

そんなCADエンジニアになる一番の近道は、会社の一社員としてプロジェクトの担当者となり、多くの経験を積むことです。

CADエンジニアは、プロジェクト全体を把握する必要があります。

そのために、プロジェクトの担当者になることが重要なのです。

CADエンジニアとして活躍したいなら、まずは希望する分野を決め、社員として就職しましょう。

大手企業では、人数が多いためなかなか全ての仕事を任せてもらえる担当者の立場になるのは難しいかもしれません。

いち早くCADエンジニアとなりたいなら、人数の少ない中小企業を選択することも一つの方法です。

ここで注意すべきは、派遣の道を選ばないこと。

たとえCADを扱うスキルが高くても、派遣では担当者としてのポジションは与えられないからです。

CADエンジニアの年収の目安

さまざまなスキルを要する「CADエンジニア」の仕事。

そこで、気になる年収の目安をご紹介します。

厚生労働省のデータ:CADエンジニアの年収の目安

CADを使って図面を描く職業の呼称は「CADオペレーター」として統一されています。

厚生労働省のデータによると、「CADオペレーター」の年収の全国平均は463.2万。

この金額は、CADエンジニアとして育てることを見越した場合の年収です。

さらに専門分野でのスキルを得て経験を積むと、収入を増やすことができます。

  • 「建築設計技術者」年収586.2万円
  • 「機械設計技術者」年収587.3万円
  • 「土木設計技術者」年収566.5万円

[参照]厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)

 

おかの
おかの

CADエンジニアでも分野によって仕事の内容に下記のような違いがあります。

  • 建築関連の仕事:仕事量はシーズン安定(平準化)している。外部との関わりが多い
  • 機械関連の仕事:工場の中で繰り返し作業が多い。外部との関わりが少ない
  • 土木関連の仕事:予算が決まらない春先は暇。行政との関わりが多い

CADエンジニアの魅力と将来性

CADエンジニアとして働く魅力や将来性について、お話していきます。

CADエンジニアの魅力

【1】売り手市場であること

人材不足の状態が長年続く建設業界。

働き手にとって有利な売り手市場であり、チャンスであることは間違いありません。

【2】喜びや達成感を味わえること

設計から携わったものが、現実の世界で出来上がっていくことへの喜びやワクワクを感じることができる仕事です。

中でも、担当者としてプロジェクトを完遂させる達成感はひとしおでしょう。

CADエンジニアの将来性

近年、3D・BIM・CIM、仮想空間(メタバース)など新しい分野の市場が拡大しています。

CADエンジニアとして関わるプロジェクトの幅が、今後ますます広がっていくことでしょう。

CADエンジニアの求人の見つけ方

まず知っておいていただきたいのが、求人情報において「エンジニア」と「オペレーター」が区別されていないということ。

将来CADエンジニアとして活躍したいとお考えなら、エンジニアを募集している求人なのか、そうではなくオペレーターなのか、自身で見極められるようになりましょう。

求人情報のチェックポイント

そこでキーワードとなるのが「経験者優遇」。

この文言が書かれている求人に応募することです。

このキーワードは「簡単な仕事ではないですよ」ということを暗に示しています。

つまり「CADエンジニアとなる人材を求めている」ということを意味しているので、CADエンジニアとしての経験を積める可能性が高いです。

応募時にたとえ専門的な経験や知識がなかったとしても、これまでの経歴と同時に「経験者優遇」をわざわざ選んで応募した「やる気」を積極的にアピールしましょう。

なお、「初心者歓迎」「未経験者可」と表記があればCADオペレータを募集している求人です。

CADエンジニアを目指す方は、「経験者優遇」を掲げている会社の求人情報をチェックしてくださいね。